2004年4月17日 チェスボクシング觀戰記

解説

オランダ人アーティストが生み出したチェスボクシング。
最も思考が要求される競技と最も闘争的なスポーツとしう、両極端な概念のコンビネーション。
リングの上で、イップ(29)が対戦者柳瀬総一郎(22)とチェスとボクシングを交互に行います。
どちらかの競技で決着がつけば試合終了。
勝敗はチェックメイトまたはチェスの持ち時間切れ、またはノックアウトで決まります。

THE TOKYO FIGHT

觀戰記

目黒通りから少し入つた路地にある會場が今日の舞臺。ワンドリンク付きの入場券でも買はされるのかと思ひきやタダで入場。場内はお洒落なバーのやうな雰圍氣で、或いは普段はバーとして經營されてゐるのかもしれない。奧のスペースではDJが曲をかけてゐる。

老若男女、洋の東西を問はず人が集まつてゐて大盛況。僕が著いた午後八時は既に試合が始まらうかといふ時で、リングの周りは人だかりでとてもリングに近附けさうもない。仕方が無いので二階に伸びるスロープの途中に立つことにした。ここからなら寫眞も撮れるだらうなんて思つてゐたら、選手入場の花道(?)がそのスロープだつたのには焦つた。横に係員ゐたのに、どうして注意されなかつたのだらう。

以下が撮つた寫眞。寫眞はフラッシュを焚いたり焚かなかつたりしたので色調がばらばら。

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哀川翔顏のMC。チェスボクシングも「レディースエーンジェントルメーン!」で始まるらしい。

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柳瀬選手に續いてイップ選手入場。二人の實力も所屬も全く分からない。どつちかがチャンピオンでどつちかが挑戰者なのか。どつちかといへばイップ選手がチャンピオンつぽいけど、そんな紹介あつたつけ。MCが喋つてる間はずつと哀川翔に似てるなあと思つてゐたのでアナウンスはあまり聞いてゐない。

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おー見合つてる。鬪爭本能に火がついたのか、これから熱い戰ひが始まる氣配が!

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第1ラウンドチェス。二人がつけてる耳當ては助言を聞く爲の無線ヘッドホンではなく、觀客からの助言を封じる爲のもの。多分。それはともかく地味だなあ。イップ選手の肩にかかつたタオルの意味が分からん。4分間のチェスでタオル要るのか。

ちなみにラウンドが始まる時にはさつきのMCが「ラウンドーワン!チェス!カーン(鐘)」とやる。しかし、そんな叫ばれてもねえ。チェスだし。

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チェスの時に眼鏡を著用するのは許されてるみたい。

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盤面は逐一スクリーンにプロジェクターで投影されるのだが、サイズが小さいうえに場内が明るくてかなり見づらい。白色のマスにある白の駒なんて見えない。

白側には「チョーヤバイ」、黒側には「ジョーカー」と英字で書かれてあるが、あれはなんだらう。リングネーム?

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觀客達もどう盛り上がつたものやらつて感じ。

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でも盛況。

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盛況。

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まだチェス。

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地味。

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第1ラウンド終了。チェス盤は持ち上げて片附けるらしい。落としたらどうするのやら。つていふか、別にリングの中でチェスしなくても。

ちなみにラウンドの合間には普段著のラウンドガールがラウンド數の書かれたプラカードを持つてリング内を廻る。

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なぜか疲れたやうに見える柳瀬選手。

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第2ラウンド開始。

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ボクシングも意外に地味。

まあ、それは僕がボクシングといふものを世界タイトル戰ぐらゐでしか見たことがないから、さう思ふのかもしれない。

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第2ラウンド終了。運ばれてくるチェス盤。落としさう。

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もつと上手いやり方もあるだらうに。

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第3ラウンド開始。

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地味。

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白(柳瀬)の駒が取られだした頃。白の駒が取られる度に觀客から溜息が漏れる。徐々に盛り上がつてきた氣配?

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第3ラウンド終了。

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第4ラウンド開始。

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チェスでの劣勢を感じたか、柳瀬選手が攻めだす。

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それでも意外に地味。

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第5ラウンド。いつ撮つても似たやうな感じなので、寫眞もそんなに撮らなくなつてきた。

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白(柳瀬)敗勢。

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イップ選手攻める。

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地味。

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地味。

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第6ラウンド。敗勢の柳瀬選手攻める!

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觀客の歡聲も大きい!いいぞ!

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第6ラウンド終了。

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疲れてる。

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マイクを持つてるのがチェスの解説者(チェス五段らしい)。の割りに、「黒がナイトを動かしましたね」とか「黒は右側から攻めるつもりでせうか」とか「ポーンがぶつかりましたね」とか「兩者疲れの色が隱せません」とか「私にはボクシングは分かりません」とかしか言はない。觀客のチェスレベルがどれ位が分からない状態では解説も難しいのかもしれない。

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第7ラウンド。イップ選手が反則手を指すアクシデント。しかもそれで勝ちと錯覺したのかイップ選手が立上つた。ざわつく場内に對して、さつきの解説者曰く「將棋ではその場で反則負けになるやうですが、チェスでは戻して指し直すルールになつてゐます」へー。解説が始めて役に立つた。

イップ選手の反則で、すは逆轉勝ちかと思はれたが、指し直しとなつては白(柳瀬)の負けは搖るがない。しかし持ち時間がだいぶ餘つてゐる白はここでじつと長考。

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第7ラウンド終了。チェスでの負けが決定附いた柳瀬選手はボクシングで勝つしかない。

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第8ラウンド開始。

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柳瀬選手攻める!

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判官贔屓か日本贔屓か、柳瀬選手が打ち込む度に場内が沸き立つ!

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しかし敢へ無く第8ラウンド終了。

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第9ラウンド。柳瀬選手はまだ持ち時間を4分以上餘らせてゐるので、さらに粘つて次のボクシングラウンドで勝ちを狙ふこともできたのだが、負けを自らに言ひ聞かせるかのやうに少し考慮したのち最後の一手を著手。イップ選手がクイーンを進めてチェックメイト。

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試合終了。

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今囘の試合はチェスで敗勢の側がボクシングで攻めに廻るといふ、チェスボクシングの本道(そんなものがあるのかは知らんが)らしい試合展開だつた。

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12分の持ち時間があつて、チェスは1ラウンド4分。どんなチェス素人でも3ラウンドの餘裕があるので、おそらくボクシングの世界チャンピオンが參加したら壓勝。

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だが、まあそんなことは考へないで、チェスの棋力とボクシングの實力が拮抗する二人を戰はせる分にはそれなりに樂しめるものにはなるだらう。

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ただ正直に言へば今回の試合はチェスもボクシングも中途半端だつた印象が拭へない。期待通りに期待外れといふか。觀戰無料の初囘に多くを望むのも無理な話だが、次囘(あるのか?)は更に白熱した試合展開(チェスもボクシングも)を期待したい。

でこぽん <osaki@117.cx> Valid HTML?